フィリップ、きみを愛してる!

ジム・キャリー ユアン・マクレガー


ただのコメディと思って見始めたら、これが意外なぐらいに良くできていて、
たしかに、ジム・キャリーユアン・マクレガーが主演しているのだから、当然か。
そのうえ、リュック・ベッソンが製作総指揮なら、金もかけ、質も高い。

往々にして、主役のギャラで制作費の大半をとられる映画もあるけれど、これはちゃんとしていた。


ジム・キャリーも老けたと思う。
思うけど、芸達者ぶりは相変わらず。


ユアン・マクレガーはなんとも色っぽい。
やはり、あのイギリスなまりが色っぽさを醸し出すのではないのだろうか。
サッカーのベッカムの時もおもったが、コクニーとも少し違うあの訛りが。

まぁ、イギリスの人にしてみれば、アメリカがなまっているんだろうけど。
ただ、日本に置き換えて考えてみれば、アメリカ訛りが東京訛りで、イギリスなまりが京言葉、ということか。

であれば、我々が京都の女性の「はんなり」した言葉に色気と上品さを感じるのと同じ、ということか?


ゲイ映画というのはどうしても色目というか、興味高さで見られるし、万人受けしないのだろうが、しかし、ユアンマクレガーの色気・恋心がとても良く出ていたと思う。
ジムキャリーからは色気・恋心は感じられなかったが、一人でつっぱしり、愛する人をお互いに愛し合うことができない、自分の視点からの独走スタイルに入る人間らしさ、という観点から見ると、それが良く出ていたように思う。

まぁ、どちらが男役なのか、ということにもなるのだろうが、ジムは男役でユアンは女役。
そういう立ち位置で見ても、たしかに2人のキャラの違いは出ているのだろう。


自分が同性愛では無いのだなと痛感したのが、恋人2人の姿として見ると、ヒトとしての共感は覚えるのだけど、男女の恋愛像を見るときのアドレナリンのドキドキ感が無い。
甘い語らいも、甘くは見えない。


と、さすがだなぁ、と思ったのが、2人のキスシーンがあること。
影ではあったが、唇が重なっているのが出ている。
他の映画みたいに、唇が動くまでは行かないが。

これに近い驚きは、真夜中の弥次さん喜多さんの、長瀬と七の助のラブシーン以来か。
しかし、あの2人はかなりストレートに熱演していたが。

あとは、キーウェストでの即物的なラブシーン。舷側に隠れていてそのものずばりはないし、
(まぁ、無い方がいいが、)無いのだが、事が終わった後に、船縁から海にはき出すところが
良くできているし、ユアンマクレガーはさすがだと思う。
芸達者だ。

刑務所の中でのおとなしいゲイっぷりも良いし、ケンカの時の恐怖というか嫌悪の顔も良い。
トレイン・スポッティングとはずいぶん変わったが。


☆☆☆☆ー(☆四つ 2000円。ちょっと高めの映画館で見ても良い。難点はジムキャリーの演技がちょっと。なんというのか、渋みがまだ出ていないのが残念。あの芸達者ぶりが熟成した後に見てみたい。)